連日児童虐待の凄惨な報道が後を絶ちません。件数も増加の一途をたどっています。どうすれば減らせるのか、無くせるのか。今の児童虐待の現状を考えてみたいと思います。
分類
「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。児童虐待の防止等に関する法律 第二条より
- 身体的虐待:殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束するなど
- 性的虐待:子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にするなど
- ネグレクト:家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなど
- 心理的虐待:言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行うなど
児童虐待の防止等に関する法律
- 第3条:児童に対する虐待の禁止
- 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
- 第5条:児童虐待の早期発見等
- 学校・病院等の教職員・医師・保健師・弁護士等は、児童虐待に関して早期発見に努めなければならない。
- 第6条:児童虐待に係る通告
- 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに福祉事務所・児童相談所に通告しなければならない。刑法134条の守秘義務違反には該当しない。
- 第9条:立入調査等
- 都道府県知事は、出頭を求め、また必要に応じて自宅へ立ち入り調査を行うことが出来ると定める。保護者がこれらを拒否する場合、裁判所の許可状を得て、臨検・捜索を行うことが出来る。
- 第10条:警察署長に対する援助要請等
- 児童相談所長は、第八条第二項の児童の安全の確認又は一時保護を行おうとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。都道府県知事が、第九条第一項の規定による立入り及び調査若しくは質問をさせ、又は臨検等をさせようとする場合についても、同様とする。
- 児童相談所長又は都道府県知事は、児童の安全の確認及び安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ迅速かつ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。
- 第12条:面会等の制限等
- 児童虐待を受けた保護された児童に対し、児童相談所長は必要に応じて、保護者の面会・通信を制限することが出来る。児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所又は居所を明らかにしたとすれば、当該保護者が当該児童を連れ戻すおそれがある等再び児童虐待が行われるおそれがあり、又は当該児童の保護に支障をきたすと認めるときは、児童相談所長は、当該保護者に対し、当該児童の住所又は居所を明らかにしないものとする。
児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律
- 児童の権利擁護
- 親権者等による体罰の禁止
- 児童相談所の体制強化及び関係機関間の連携強化等
- 都道府県は、一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける
- 児童相談所に弁護士、医師及び保健師を配置する
- 指導措置を行う場合は、児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学的知見に基づく指導を行うよう努める
- 児童相談所の設置促進
- 関係機関間の連携強化
動向
児童虐待相談対応件数の推移
件数は205044件で、過去最多
児童相談所での虐待相談の内容別件数の推移
心理的虐待の割合が最も多い
児童相談所での虐待相談の経路別件数の推移
警察等、近隣・知人、家族・親戚、学校が多い
虐待による死亡の状況
「0歳」が最も多い
主たる加害者
「実母」が最も多い
課題
死亡に至った事例の発生以前になされ虐待通告の有無と通告先
通告「なし」が多い
児童相談所及び関係機関の関与状況
「関係機関との接点はあったが、虐待や虐待の可能性を認識していなか
った事例」が最も多い
関係機関間の連携状況<第17次報告>
関係機関間の連携「なし」多い